Waterloo

2006/04/08


このタイトルといえば・・・そう、ワーテルローの戦いです。
今回は、豆知識的な話題で。
世界史を取っている人であれば、「ワーテルローの戦いについて説明せよ」
と訊かれれば、「フランスの皇帝となったナポレオンがロシア遠征に失敗した後、諸国同盟軍に敗れて、エルバ島に流された後、そこから、脱出して復活をかけて戦ったが、敗れた戦い。」程度には答えられるでしょう。
しかーし、歴史好きのこのDiocletianusにとっては、それだけではなーい!!
知っている方は知っていると思いますが、もうひとつ、この戦いによって、もたらされた軍事上の新たなる大きな成果があるのです。
それは、騎兵に対する歩兵の優位性です。
この戦いで、ウェリントン将軍率いるイギリス軍および、プロイセンの連合軍とナポレオン率いるフランス軍が衝突します。
ここで、ウェリントンの命により後退した、イギリス歩兵隊を見たフランス軍のネイ将軍は、イギリス軍が潰走しつつあると勘違いし、チャンスと思って、フランスの騎兵を突撃させます。
そこで、ウェリントンは、これに方陣隊形で対抗します。
勢いに乗って突撃したフランス騎兵隊も、この方陣をなかなか突き崩せなかったのです。
つまり、編隊を組んだ銃歩兵に対する騎兵の突撃は効果的なものではないとこの戦いで証明されたのです。
これは、歴史上の大きな変化です。
乗馬兵が登場して以来、歩兵に対する騎兵の優位性は揺るぎないものでした。
しかし、この戦いによって、その優位性が根底から覆されたのです。
逆に、戦場における歩兵の優位性は、戦車や航空機が登場するまで、ゆるぎないものとなったといえるのです。

なぜ、騎兵の優位性が崩れたか。その原因を私は、軍隊の大規模化と銃・大砲の進化ではないかと考えます。
後者については説明するまでもないでしょう。
前者について説明すると、フランス革命政府により、徴兵制が導入されたことにより、軍隊の数は今までの職業軍人の数万の単位から徴兵軍人の数十万の単位に変化しました
そうすると、横隊になって一斉射撃の体勢になると前線の長さが数kmぐらいになります。
すると、騎兵は相手の歩兵隊の側面に回りこむということが難しくなります。
そうなると、騎兵の機動性は無意味なものとなります。
騎兵の優位性は、その機動性によってもたらされる、加速をつけた上での正面攻撃の能力と側面攻撃の能力にあります。
この機動性が失われた瞬間に騎兵の優位性は失われました。

このことに、早くから気づいていたオスマン=トルコ帝国は常に数十万の軍隊を動員し、その最強の部隊は騎兵ではなく、イェニチェリ、つまり銃歩兵だったのです。

たとえば、南アフリカのボーア戦争では騎兵は活躍します。
なぜなら、双方の軍隊が小規模であったため、騎兵の優位性が生かせたのです。

以上より「ワーテルローの戦いは騎兵に対する歩兵の優位性が証明された戦い」といえるのです。

 

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